多言語社会研究会第7回研究大会開催と報告募集のお知らせ

 多言語社会研究会では、以下の要領で第7回研究大会を開催します。ついては大会における研究報告を募集します。報告は大会テーマ報告と自由テーマ報告のいずれも可能です。奮って応募ください。

▶多言語社会研究会第7回研究大会

【日時】2012年12月1日(土)・2日(日)

【場所】女子美術大学杉並キャンパス

http://www.joshibi.ac.jp/access/suginami

【参加費】2000円

【大会テーマ】多言語社会とICT

<大会テーマ趣旨説明>

 言語の歴史は収斂と拡散の歴史でもあり、特定の技術の発展普及がこれにインパクトを与えてきた。15世紀から16世紀のヨーロッパにおいて、宗教改革と結びついた活版印刷術の普及は、「俗語」の書記化と、それらが各地域で「共通語」化する道を開いた。ラテン語を中心とするわずかな言語に収斂していた書記言語が、活版印刷術を契機の一つとして、「俗語」に拡散したと言える。一方、その後の展開を見れば、「共通語」から「国民国家語」へというルートに乗り損ねた諸言語の多くは「少数言語」となることを余儀なくされ、これら言語の話者による言語乗り換えなどを通じ、言語的多様性は全体として徐々に「国民国家語」群へと収斂してきたとも言える。

 では現代のICT(Information & Communication Technology)は、言語的多様性の収斂と拡散のそれぞれに、どのような契機として機能しているのであろうか。インターネットは世界のかなりの地域ですでに社会的インフラとなっており、そのうえではさまざまな興味深い言語現象や言語活動が生じている。また、インターネットだけでなく、携帯電話などに見られるICTは、人のコミュニケーションのあり方を変えてきたようにも思われる。例えば、ウィキペディアが少数言語を維持振興するためのツールの一つとしても用いられていることはすでに知られている。なかでも、カタルーニャ語については、Amical ViqupèdiaというNPOが2008年に創設され、現在およそ60名のメンバーが、カタルーニャ語版ウィキペディアに関するワークショップや会合の開催、カタルーニャ自治政府との協力協定の締結といった様々な活動を組織し推進している。

 セネガルでは、1970年代にはすでにウォロフ語正書法が政府機関により一応定められていたが、成人識字プログラム以外ではほとんど学ばれることはなく、普及にはほど遠い状況が長く続いていた。ところが近年になり、この正書法に則って記述されたウェブサイトが現れるようになり、これを参照し準拠する個人ユーザも増加することで、正書法ウォロフ語の使用が広がっている様子が観察されている。2012年6月、グーグルは、消滅の危機に瀕する言語(危機言語)に関する情報交換を促進することを目的とした”Endangered Languages Project” http://www.endangeredlanguages.com/) を開始した。

グーグルによれば、プロジェクトサイトを通じて危機言語に関する最新の情報にアクセスできるだけでなく、危機言語使用者自らが、テキスト・音声・動画といった形態による危機言語の情報を登録し共有することが可能となっている。こうした事例は「なぜ」「どのように」生じているのか。どのような動機や思想、態度(言語態度)が背景にあり、具体的な行動にどのように結びついているのであろうか。これらの問いを通じて、ICTの普及と言語的多様性との間に生じている関係性を展望してみたい。

 ▶大会報告申込案内

【報告時間】30分(予定)

【報告要旨】2000字以内

【申込締切】9月10日

【申込方法】以下のフォームに必要事項を記入 http://goo.gl/YKplU

【結果通知】要旨を審査の上、9月20日を目途に個別に

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