会長挨拶

宮崎 里司

早稲田大学日本語教育研究科の宮崎里司(みやざき さとし)です。2015年度から日本言語政策学会(Japanese Association for Language Policy: JALP)の会長に選出された。これまで、本学会では、運営委員、理事、事務局長や副会長などを歴任してまいりましたが、この度、森住 衞(まもる)前会長の後任として、学会のとりまとめをさせていただくことになりました。

私は、日本語教育およびその関連する教育政策を主領域として研究実践してきましたが、言語政策は、「日本語教育」の分野でも、大きな関心事のひとつとなってきています。とりわけ、日本がこれから直面する、多文化共生社会や移民社会を、持続可能(サスティナビリティ sustainability)な政策課題として検証する上で、言語政策は重要なキーワードとなってくると思われます。

日本においては、2014年度末までの集計で、外国人在住者は、250万人近くに上っています。内訳としては、留学生という在留資格だけではなく、就労者、興行、高度専門職、研究、教育、技能実習、家族滞在、日本人ないし永住者の配偶者、家族滞在などの査証を有する方が、確実に増え、積極的な移民の受け入れ政策は、現実味を帯びるとともに、社会インフラの一つとして、そうした生活者のための日本語や外国語政策が問われています。

他にも、語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格である、『ヨーロッパ言語共通参照枠』(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)と日本の外国語政策や、小学校で導入されている「外国語活動」のあり方、複言語教育や複数外国語教育政策、グローバル化をめざす大学の外国語政策(インバウンドの外国人留学生に対する日本語教育政策、アウトバウンドの日本人学生に対する外国語教育政策など)、企業内で進められている英語の社内公用語化、外国人児童の継承語(heritage)政策、外国人集住地区などを中心とした多言語対応政策、少数民族や先住民の言語権、手話言語など、言語政策に関する課題は、非常に多様化しています。

学会の動向は、今後も、このJALPオフィシャルWebサイトで発信していきますが、研究発信として、学会誌『言語政策』や研究大会では、会員による言語政策関連研究の成果を発信していきたいと思っています。学会は、現在、任意団体であるものの、2010年には、学術研究団体として認可され、また、大学評価の認証評価専門委員選出機関になるなど、着実に、そのレゾンデートル(存在意義)を高めつつあります。

今後は、研究面ならびに政策実践面において、関連諸学会との連携を図ることも視野に入れながら、「言語政策」に関する政策実践研究の発信に努めていきたいと思いますので、私たちと共に、ぜひ、会員として活動していただければ幸いです。