日本言語政策学会2022年度特定課題研究会「多言語社会の言語政策のための組織言語マネージメント研究会」(代表:サウクエン・ファン)は、言語管理研究会との共催により、このたび下記の次第で公開研究会を開催することになりました。両学会の会員のみなさまはじめ、多くの方のご参加をお待ちしています。
【公開研究会】
「B. H. イエルヌッド先生を囲む公開研究会:60年代言語計画研究の萌芽期からコロナ時代へ」
開催趣旨:
イエルヌッド先生は今年傘寿を迎えられました。副題にあるように「60年代言語計画研究の萌芽期からコロナ時代へ」について、ワシントンD.C.とZoomでつないで、公開研究会を開催します。60年代と言えば先生はまだ20代前半の若さでした。そこからどのように研究者グループのなかで切磋琢磨し、言語計画そして言語管理の研究をされてきたのか、そしてコロナ時代の現在どのような関心をお持ちか、などリラックスした雰囲気のなかで伺っていきます。先生から見ればほとんどの参加者が若手となるわけですが、お話いただくアカデミズムの経験や思想は後に続く研究者にとって貴重なお話になることと思います。
多くの方々にぜひご参加いただければ幸いです。
開催日: 2022年12月11日(日)午前10:30~12:00 ZoomによるOnline開催
対 象: 日本言語政策学会会員のみなさま・言語管理研究会MLメンバーのみなさま
参加費: 無料
使用言語: インタビュー部分は英語、ほか日本語・英語
参加申込:Googleフォーム(下記URL)からお申込みください
https://forms.gle/pzuh8zTLiex27hD49
申込締切:2022年12月8日(木)
※お申込みいただいた方に、Zoomのリンクおよび関連の資料を研究会前日(12月10日 土曜日)お知らせします。
研究会のプログラム:
●セクション1:研究者イエルヌッド先生へのオマージュ(日本語また英語)
●セクション2:イエルヌッド先生へのインタビュー(英語)
●セクション3:Chatによる質問・コメントコーナー(日本語または英語)
B. H. イエルヌッド先生紹介:
Björn H. Jernudd was a member of the team that formulated language planning theory and conducted an international research project on language planning processes in the 1960s and early 1970s. He continued studying behavior toward language and together with J. V. Neustupný laid the foundation for language management theory. He has held positions at Monash University, Melbourne, with the Ford Foundation in the Middle East, at the East-West Center in Honolulu, and at the Hong Kong Baptist University; and as a visitor at the National University of Singapore, among other places. He was also working on the For and Birgid languages of Darfur, Sudan.
参考資料(事前購読不要):
Rubin, J. & B. H. Jernudd (eds.) (1971) Can Language Be Planned?: Sociolinguistic Theory and Practice for Developing Nations. University of Hawaii Press.
Rubin, J., Jernudd, B. H., Das Gupta, J., Fishman, J. A. & Ferguson, C. A. (eds.) (1977). Language Planning Processes. The Hague, Paris, New York: Mouton Publishers.
【特定課題研究会「多言語社会の言語政策のための組織言語マネージメント研究会」について】
言語と言語行動に対する意図的な介入や統制については一般的に「言語計画」という用語によって研究されることが多い。「言語計画」はさらに「言語政策」の形態によって実現される。その一方で、あえて「language planning」の代わりに、「language management」という用語を戦略的に用いる先行研究もある。たとえば、Spolsky(2004:5)は「language management」を「言語の実践を変更または影響を与えるための特定の努力」と定義づけており、言語政策に関する理論構築の3つの構成要素の1つと主張している。1980年代にさかのぼって、言語生成と受容を管理するメタ言語活動を研究対象として、具体的な理論を展開させたLanguage management theory(言語管理理論, Jernudd & Neustupný 1987)も周知のとおりである。
本特定課題研究会では、多言語社会という複雑な社会的ネットワークに焦点を当てるために、戦略的な言語計画の1つの段階として、組織による言語のマネージメントを扱う。