多言語教育推進研究会の提言

グローバル人材育成のための外国語教育政策に関する提言

―― 高等学校における複数外国語必修化に向けて ――

はじめに ―― 本研究会設立の経緯と提言骨子

日本言語政策学会は、第14回研究大会(2012年6月9日 麗澤大学)の全体シンポジウムで、我が国の言語政策を問い直す一環として、英語以外の外国語教育政策を取り上げました。これを受けて、第15回記念研究大会(2013年6月2 日 桜美林大学)の第1分科会で、具体的に学習指導要領がどのようになるべきかなどに関して話し合いました。その後、このテーマに関するプロジェクトチームとして、「JALP多言語教育推進研究会」を立ち上げ、9回の議論を経てまとめたものが今回の提言です。その骨子は、高等学校において、英語に加えて「第2の外国語」を必修選択科目と位置づけ、すべての高校生が「英語+その他一つの外国語」を学べる環境を保障しようということです。

取り上げる言語は、当初のシンポジウムおよび第1分科会のときは、韓国・朝鮮語、中国語、 ドイツ語、フランス語、ロシア語(言語名の五十音順)でしたが、これにアラビア語とスペイン語を加え、英語を除いた5国連公用語、および韓国・朝鮮語、ドイツ語の7言語としました。国連公用語を取り上げるのは、その目的上、異論がないと思います。これに、韓国・朝鮮語を加えたのは、この言語が古来、日本と深い関係にある地域の言語だからです。ドイツ語を取り上げているのは、明治以来、英語やフランス語と並んで日本の近代化に大きく関与してきた言語であるからです。この他の言語、たとえば、日本と関係の深いブラジル・ポルトガル語、タガログ語、あるいは、近年関係が深くなっている東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の言語などは 追加されて然るべきですが、今回は上記の7言語にしぼっています。また、この提言の具体化のために、上記7言語のそれぞれの学習指導要領の素案も別紙にて添付いたします。

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提言・学習指導要領案の修正版の掲載につきまして【2016年4月26日追記】

先般、2014年6月に本学会のHPに掲載した「グローバル人材育成のための外国語教育政策に関する提言-高等学校における複数外国語必修化に向けて―」に関して、5か所で誤りがありました。お詫びして訂正いたします。修正後の「提言」と「『第2の外国語』学習指導要領(案)」を掲載致しましたので、ご覧頂ければ幸いです。

<修正箇所>
1.「提言」 p.2   2013年1月 → 2012年12月
2. 付記 2 学習指導要領(案)作成協力者
同志社中等学校・高等学校嘱託講師 →同志社国際中学校・高等学校嘱託講師
3.「学習指導要領(案)」p.16   伝えわるように → 伝わるように
4.「学習指導要領(案)」p.40 務める → 努める
5.「学習指導要領(案)」p.41.
冠詞 (定冠詞, 定冠詞および部分冠詞・・・) → 冠詞 (定冠詞, 不定冠詞および部分冠詞・・・)

2016年4月

JALP多言語教育推進研究会

顧問     森住 衛

代表 古石 篤子

副代表 杉谷眞佐子

 

「グローバル人材育成のための外国語教育政策に関する提言」<修正版>の全文を読む(PDF)

「第2の外国語」学習指導要領案<修正版>の全文を読む (PDF)

 

*本件の詳細については『外国語教育は英語だけでいいのか    グローバル社会は多言語だ』(くろしお出版、2016年3月)も御参照ください。