2012年度九州地区研究会プログラム

日本言語政策学会 九州地区研究会

シンポジウム:観光と言語政策 趣意書

 

山川和彦(麗澤大学外国語学部)

観光は、今日、日本の重要政策の一つとなっている。観光が様々な業種に関連し、観光客の増加は、地域活性化に大きな影響を及ぼし、それに加えて、訪日外国人旅行者の増加は、国際相互理解の増進にも貢献する。特に、近年では訪日外国人を対象とした施策が、国、地方を問わず実施され、訪日外国人が地域経済の起爆剤になっているところもある。

訪日外国人の国内旅行が重要となりつつある一方で、総務省が行った「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」(2009年)には、訪日外国人の外国語による接遇を行っていない、あるいは外国語による案内を実施していない観光案内所が、依然として多いことが示されている。また、外国語案内や母語によるコミュニケーションができないことを不満に思う外国人旅行者がいることも指摘されている(JNTO「訪日外国人個人旅行者が日本旅行中に感じた不便・不満調査」報告書、2009年)。このような状況を考えると、訪日外国人旅行者を増加させ、滞在の満足度を高めるためには、直近の課題として、言語的そして多文化理解の視点からも観光地のインフラ整備が求められてくるものと察せられる。

観光が人的な交流(コミュニケーション)を伴うものであるにもかかわらず、その研究が経済・経営学的側面、あるいは人類学的なものに偏重している感がある。接遇の一部として言語を扱うことはあっても、観光と言語との関係を正面切って論じることは少ない。例えば国立国会図書館の検索システムにおいて2005年以後の雑誌論文等の見出し検索をすると、「観光」をキーワードにしたヒット件数は7073件、一方「観光」+「言語」にするとわずか23件にとどまる。

そこで、このシンポジウムでは、観光と関連する言語事象をとりあげ、今後も増加すると想定される訪日外国人の利便性を確保するために、広義の意味で「政策」者は、どのような言語政策を観光産業において立案・施行し、将来的にいかなる言語的インフラストラクチャーを整備するべきなのか、考えて見たい。

シンポジウムでは、観光産業における(言語的)接遇の特性を整理したうえで、具体的な観光地の現状と試みを報告してもらいながら、議論を進めたいと考えている。

 

日本言語政策学会 九州地区研究会プログラム(11.26案)

  • 名称:シンポジウム:観光と言語政策―言語政策と国際交流観光を考える―(案)
  • 日時:2012年12月8日(土) 13:00~16:50
  • 場所:宮崎大学教育学部 第1会議室(〒889-2192 宮崎市学園木花台西1丁目1番)
  • 主催:日本言語政策学会
  • 協力:日本風景街道「日南海岸きらめきライン」
  • 入場:無料
  • 定員:100名

プログラム

13:00~13:10(10分間)【開会あいさつ】

13:10~14:00(ご講演40分・質疑応答10分)

【講演1】森住衛 氏(日本言語政策学会会長、桜美林大学教授)
テーマ:「日本の異言語教育政策の現状と課題ー異言語教育全体・英語教育・英語外の異言語教育ー」

14:00~14:50(ご講演40分・質疑応答10分)
【講演2】木下正義 氏(ジャイロスコープ株式会社・教育開発担当部長、日本言語テスト学会副会長)
テーマ:「これで良いのか日本の言語政策ー言語政策の欠点・国際言語管理及びハウステンボス「英語村」ー」

14:5015:05(15分間)【休憩】

15:0516:45(100分間)

【パネルディスカッション】

◆テーマ:「観光と言語政策」

今後も増加すると想定される訪日外国人の利便性を確保するために、広義の意味で「政策」者はどのような言語政策を観光産業において立案・施行し、将来的にいかなる言語的インフラストラクチャーを整備するべきなのか、また、政策・教育関係者と現場の「政策」者はどのように歩み寄って新たなポテンシャルを用意することが可能なのか、研究会を通じて、こうした点を検討したい。

◆登壇候補者

○コーディネーター:山川和彦 氏(麗澤大学外国語学部 教授)

○コメンテーター:森住 衛 氏

○パネリスト:

  • 和田 晧 氏(日南商工会議所副会長、日南海岸活性化推進協議会会長)
  • 福永栄子 氏(株式会社アイロード代表(旅の情報誌『みちくさ』編集長)、宮崎県観光審議会委員)
  • 谷越衣久子 氏(一般財団法人みやざき公園協会課長、日本風景街道「日南海岸きらめきライン」事務局、宮崎県観光審議会委員)

16:50【閉会】

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