関東地区月例研究会

早稲田大学早稲田キャンパス22号館 8F 会議室 (東京都新宿区西早稲田1-7-14) 

日 時 2月27日(土)15:00〜17:00
発表者 山本忠行(創価大学)
題 目 揺れ動くガーナの言語教育政策

【概要】 アフリカ諸国は独立後旧宗主国の言語をそのまま公用語として使い続けている国がほとんどであるが、一方で現地語を国語として発展・普及させようとしている国もある。ガーナは現地語を国語と定めることができないために、初等教育で現地語をどのように扱うかで言語政策が揺れ動いてきた。
特に2002年に教授言語を幼稚園から完全に英語化すると決めながら、わずか5年後には旧政策にもどり、小学校3年までは現地語で教えることになった。
なぜこのような朝令暮改とも言うべき政策変更が行われたのか、英独のかけひきやUNESCOWorld Bankなどとの関係から背景をさぐる。


日 時 2010年1月30日(土)15:00~17:00
発表者 ポダルコ・ピョートル(青山学院大学)
題 目 ソ連解体後のバルト三国における言語政策について

【概要】 199112月の旧ソ連解体後、それを形成した15のソビエト共和国は独立国家となりました。一方、それと同時にロシア連邦国外に住むロシア人の総数が、約2500万人(推測)を達成しました。独立権の宣言以降、新しい国家の先住民・新住民(ロシア人)の間にさまざまな摩擦が起こりましたが、その中で最も激しい闘争を起こす対立は、言語政策をめぐる諸問題です。今回、バルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニアを例にして、旧ソ連各地における言語共存及び多民族性について報告いたします。


日 時 2009年10月24日(土)15:00~17:00
発表者 杉本篤史(東京国際大学)
題 目 憲法学からみた日本の言語政策 ― 言語の何が法益なのか ―
【概要】 発表者は憲法学者であり、その立場から日本の言語政策について、主として憲法学的な解釈論とそこから導出されるべき立法政策について研究してきた。2年前より本学会活動に参加し、言語マイノリティに対してどれだけの人々が尽力されているかを痛感した。しかし、日本の法体系(それは原理上、日本国憲法が含意する諸価値の実現と捉えられる)は、依然として言語マイノリティに対して冷淡である。それはなぜか、ではどうすればよいのかについて法律学者の立場から検討してみたい。発表前半では、憲法を頂点とする日本の法体系が、言語政策に及ぼしていると思われる影響について述べ、発表後半では「言語権」を憲法上に措定するために乗り越えねばならない諸課題について述べる。フロアーからの忌憚のないご意見ご質問を宜しくお願いしたい。

日 時 2009926日(土)15:0017:00
発表者 村岡英裕(千葉大学)
題 目 言語政策のオルタナティブとしての言語管理研究
ー外国人の言語問題の広がりをめぐって
【概要】 ネウストプニーによって確立された言語管理理論による研究は、言語政策研究のオルタナティブとして提唱され、おもに接触場面とそこでの外国人の言語問題の究明が行われてきた。本発表の前半では、言語管理理論による接触場面研究の枠組を紹介し、とくにプロセスおよびディスコースという2つの概念とその意義を考察する。後半では、これまでの研究から事例をいくつか取り上げ、外国人が行っている言語管理には、発話の管理だけでなく、文化的距離の管理、役割の管理、接触場面の類型の管理などが見られることを述べる。さらに、そうした管理を通じて明らかになる外国人の言語問題を整理し、最後に「母語話者非母語話者」パラダイムとの関わりに触れたいと思う。 

日 時 2009725日(土)15:0017:00
発表者 エツコ・オバタ・ライマン(Arizona State University名誉教授)
題 目 日本語をどう書くか:現在・過去の継承をどう未来構築へと移行していくか

【概要】 話し言葉の中でまず言語変化の最初が現れる。しかし、この変化は個人レベルのサブカルチャーの中で始まり、口癖のような「今風ではこう言う」形をとり、影響が広がって行った時、知らず知らの内に互いに影響しあって、気が付くと、別の表現になっていたり、別の意味になっていったりする。(例:こちらにお書きくださいこちらに書いていただいてもよろしいですか。気が置けない〈親しみがもてる安心できない〉
 一方、書き言葉は普通学校教育からはじまる。ここでは「こうであるべきよう」が意識的に指導される。この理由から日本全国に影響を及ぼす重要な言語政策は書き言葉にあると言える。したがって言語政策は学校教育・メディアに強い影響を及ぼす。これは教育カリキュラムを変え、出版業界を変え、メディア様式を変え、ひいては人間の頭脳の記録様式を変える。


日 時 2009年5月30日(土)15:00〜17:00
発表者 Peter Backhaus(バックハウス  ペート ・ドイツ日本研究所副所長)
題 目 言語景観と日本の多言語化: 東京を事例に

【概要】長い間単一言語社会として知られてきた日本の多言語化を探るために、東京都内の言語景観(サイン、看板、標識などの公共空間における書き言葉)について実態調査を行った。山手線28駅で、一定地域内にあるすべての表示を分類した。発表では、外国語の割合、地位的普及、公的対私的表示の割合などを分析して、主な結果を次の3質問に沿って考察する:@「誰によっての多言語化?」A「誰のための多言語化?」B「どうなる多言語化?」。


日 時 2009年4月25日(土)15:00〜17:00
発表者 ツルネン マルテイ(参議院議員)
題 目 外国人と共に生きる秘訣
【概要】
●異文化から学ぶ:郷に入っては郷に従え、国際交流協会、在日外国人は何語を話す?異文化を理解、母国の仲間、日本人とのつきあい、生活習慣とマナー、ホームステイなど
●私の帰化申請体験:1979年に日本に帰化、国政を目指した動機についてなど
●外国人への差別はなぜ起きるのか:「外国人お断り」の銭湯、山小屋のトイレ事件、オンブズパーソン制度、Be like others、外国人はゲスト?よそ者?など
●日本憲法による「国民」と「住民」の権利について:最高裁判決、諸外国における外国人への参政権付与状況など
●多文化共生が日本を変える!
●豊かな森のような社会をめざして(世界がもし100人の村だったら)