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月例研究会 | ||
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日 時 | 2008年3月22日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 宮崎里司(早稲田大学日本語教育研究科) | |
題 目 | 日本語教育とユニラテラリズム(単独行動主義):言語教育政策からの一考察 |
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【概要】 2008年現在、言語教育と言語政策の相関関係について、強く意識する日本語教育関係者は、依然として少数派である。言語教育政策領域の知見を広げる作業は、日本語教育学研究者、日本語教師、そして、将来国内外で日本語教育に従事する予備軍にとって不可欠なプロセスである。また、海外における赴任国の教育機関では、どのような言語政策の下で、日本語教育が展開されているのか、また、日本がどのように働きかけているのかを把握できないと、効果的な教育貢献が望めない。本研究例会では、日本語教育関係者が抱く、ステレオタイプ的日本語教育観の一つとして、単独行動主義を意味する、「ユニラテラリズム」を取りあげ、言語教育政策の観点から、再考すべき論点を提示したい。 | ||
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日 時 | 2008年2月23日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 |
柴崎敏男(三井物産株式会社 CSR推進部社会貢献推進室 シニア・フィランソロピー・スペシャリスト)
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題 目 | 企業の社会貢献活動(三井物産) | |
【概要】 最近CSR(企業の社会的責任)という単語が新聞に出ない日は無いほど現在は企業の社会に対する姿勢が問われている。一方では食品業界を始め不祥事が後を絶たない。企業の存在意義とは何なのか。 社会貢献活動の歴史、三井物産の社会貢献活動、特に在日ブラジル人児童の教育支援活動の内容を具体的に説明しながら企業がどのようにCSRを考えているかに言及すると同時にその過程で直面した教育に関する問題点に触れる。 |
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日 時 | 2008年1月26日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 外国人政策研究所所長 坂中英徳 | |
題 目 | 定住外国人に対する日本語教育体制の拡充を | |
【概要】 現在、日本に居住する約二〇八万人の外国人の現実を見ると、日本社会にうまく適応できないで困っている外国人の姿が目立つ。どうしてこういう状況になったのか。その主たる原因は、在日外国人に対する社会統合政策の不在にある。社会統合政策の中核は、定住外国人に対する日本語教育プログラムの充実を図ることだ。定住外国人が日本語を習得すれば、日本語には日本人の考え方も日本文化も風俗習慣も全部含まれているから、日本社会への適応が順調に進む。 |
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日 時 | 2007年12月15日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 野呂 一(のろ はじめ)(中野区役所職員・ろう歴史研究家) | |
題 目 | 手話と手真似とろう教育 | |
【概要】 ろう者が日常用いる言語として「手話」が認識されているが、戦前はもっぱら「手真似」とよばれていた。当時、「手話」は正しくは「手話法」といい、伊澤修二が提唱した「視話法」に対する教育言語として認識されていたのである。ろう教育の現場では「視話法」は形を変え「口話法」になっているが、「視話法」は今も吃音者の発音矯正に用いられていると聞く。現在、ろう教育で用いられる教育法は「聴覚口話法」が主流であり、話し言葉に合わせて手話単語を並べていく「日本語対応手話」による指導法が補佐的に使われているが、手話による教育が万全に行われているところは皆無に等しい。最近、ろう児をもつ親から、ろう者の言語である「日本手話」で教育してほしいという声が高まり、日弁連にろう児の人権救済を申し立てたことは周知の通りである。しかし、日本のろう教育は最初から「口話法」によるものではなかった。つまり、親のこのようなニーズは、歴史的に考えれば「手話」の回帰現象であるともいえる。今回は、「手話」による教育が中心であった戦前のろう教育についていくつかの事例を紹介するとともに、大正後期になってなぜろう教育から「手話」が排他されるようになったのか、そのプロセスについて考察していきたいと考えている。 |
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日 時 | 2007年10月27日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 牧野圭一(京都精華大学マンガ文化研究センター長) | |
題 目 | 紙芝居口演の現場から「マンガの読み取り能力」の深度を測る | |
【概要】 マンガは通常、印刷媒体を通して読者に供されることから、マンガ作者が直接作品への反応を知る機会は少ない。出版物の販売数から、その人気度が測られることが多い。目の前にあるものが単純に「分かった」と思う範囲と、作家の作画時の心理にまで踏み込んで「分かる」場合の状況を比較する。京都国際マンガミュージアムは開館して以来一年近くが経過し、20万人を超える入場者を得た。その館内、人気スポットである紙芝居口演でも3万人以上の鑑賞者を数えた。この口演現場を度々訪れ、長時間の観察を繰り返す中で、カウントダウン方式で見せる「サイレント・四齣漫画」に注目。単純な絵の思いがけない展開に、三歳児から高齢者までが、性別、国籍を超えて拍手し、大きな笑い声で反応する。マンガ教室など、他の事例も踏まえ、マンガの『読み取り能力の深度』を考えたい。30年前、漫画家、研究者など専門家でなくては読み取れないとの設定で描いた作品が、紙芝居というパフォーマンスの中で、三歳児と高齢者に、同時に理解されるという現場感覚。数字的なデータで示すのではなく、漫画実作者の視点から、作品事例を示して解説する。 | ||
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日 時 | 2007年9月22日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 中根育子(メルボルン大学アジア研究所) | |
題 目 | オーストラリアの法的場面における異文化コミュニケーション | |
【概要】移民の割合が人口の30%近くを占めるオーストラリアでは、英語を第二言語として使用する話者と、英語母語話者の間におけるコミュニケーションが日常的に行われている。そのようなコミュニケーションの中で、法廷や、警察、また弁護人との面接といった法的場面では、組織内における特殊な言語使用のパターンがあるため、組織内と組織外の話者の間に誤解や問題が生じ、無実の者を有罪とする結果につながる場合もある。この発表では、そのような問題の検討、解決に向けてオーストラリアで行われている社会言語学、応用言語学の研究の実態とその成果、及びそのインパクトについて、紹介する。 | ||
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日 時 | 2007年5月26日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 笈川博一(杏林大学社会科学部社会科学科教授) | |
題 目 | 古代世界の“白話”運動 | |
【概要】 書き言葉に比較して話し言葉の変化が激しいことはよく知られている。ましてや、ごく少数の書記たちだけが読み書きできた時代には書き言葉の保守性は非常に高かった。数千年にわたって書かれ続けた古代エジプト語のかなりの部分が一つの文法で読めるのはそれを示している。しかし、そうした文書の中にも書記たちが日常使っていたであろう“非正規”の口語が混じってしまうことは妨げられなかった。古典エジプト語文学の白眉と言われる“シヌヘの物語”にすらその現象が散見される。しかし19、20王朝には非正規口語だけで書かれる文書が洪水のように現れた。“古代の白話運動”とよんでもいい現象である。このような話しをした上で、今日の日本語のすがたについて、私なりの考えも述べてみたい。 |
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日 時 | 2007年4月28日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 関本保孝(世田谷区立三宿中学校夜間学級教諭) | |
題 目 | 早稲田・墨田産学官連携プロジェクトと夜間中学:生徒・地域・行政そして日本語教育とどう向き合うか | |
【概要】 1978年から都内の夜間中学校日本語学級で日本語を教え始め、韓国・中国からの帰国者、インドシナ難民、新渡日外国人など、様々な方々と関わってきました。生徒の中には非識字に近い中高年の方も多く、留学生対象の方法ではなかなか対応できません。そこで、生活のための会話を中心とした日本語学習を支援するため、自主テキストや会話練習を工夫し、学校生活の様々な場面で会話や様々な発表・表現を重視し教えています。 |
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日 時 | ||
発表者 | 青木保(早稲田大学アジア研究機構アジア研究所教授) | |
題 目 | ||
発表者の都合により中止となりました。 |
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日 時 | 2007年2月24日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 春原 憲一郎(海外技術者研修協会AOTS日本語教育センター長 /立教大学大学院特任教授) |
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題 目 | 日本における移住労働者のライフコースを射程に入れた言語政策 | |
【概要】 発表者は現在EPA(経済連携協定)による海外からの看護介護士の受入や留学生の就職支援事業にかかわっている。今後定住化する外国人の子弟や老後等のライフコースを射程に入れたストック政策が必要である。何より多様な文化をもつ住民が差別や暴力の恐怖を感じず安心した暮らし(QOL)を営むことができるためには、競争よりも信頼を核にすえた社会の制作が必要である。そのための言語政策を議論する上で必要な、外国人差別等の社会的な論点と、「母語」言説等の言語教育内部の争点を提示し、議論したい。 | ||
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日 時 | 2007年1月27日(土)15:00〜17:00 | |
発表者 | 港町診療所 沢田 貴志 | |
題 目 | おとうさんは死んじゃうんですか? ──医療の現場から見えてくる通訳の必要性── |
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【概要】 タイトルは、重症の心臓病で救急受診した父親に付き添い懸命に通訳をしようとしていた11歳の少女の言葉である。これまで1万人以上の新来外国人の診療を行ってきた私達は、NPOや国際課と協力し神奈川で 医療通訳制度の立ち上げに尽力してきた。しかし、通訳に対して支払う謝礼の財源が制度的に位置付けられない中で将来の展望は未だ不透明である。早期診断に資する通訳は社会資源の有効活用に繋がると考えるが日本での制度化の道は険しい。 |